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苔テラリウム用土について



苔むすびで用意している苔テラリウム用土が、どんな考えで作られているのか紹介します。


結論から言うと


①苔の生育が良い

②苔が植え付けやすい

③傾斜など土台の造形がしやすい

④濡れ性が高い

⑤美しく見える

⑥菌が生えにくい


といった特徴があると思っています。

最後に用土の使い方のコツも記載しています。


細かく見ていきましょう。



苔テラリウム用土の配合は


まずは先に配合を書いてしまうと


焼成赤玉土(粒径1-2mm):40%

バーミキュライト(粒径1.2mm以下):40%

ピートモス(メッシュパス):20%


となっています。

見ての通りとにかく細かい粒のものを使用していて、ホームセンターや園芸店で売られている一般的なサイズの粒度ものを使ってしまうと、同じに比率で作っても使用感が全く違うものになります。



①苔の生育が良い


まず、ピートモスを使用することで、苔の生育が良くなるようです。

これまで厳密な比較をしておらず、感覚的なものだったのであまり大きな声で言っていなかったのですが、先日比較試験をしたところ、確かに差がある、ということが見えてきました。

観葉植物等の栽培に詳しい方に伺うと、ピートモスは魔法の土かというくらい、なんでも生育が良くなるらしく、この結果をみる限り、苔も例外ではないようです。


そのピートモスが20%配合されています。

なぜ20%なのか?

実際のところ100%で育てても基本的には問題ないと思っています。

ただ、それほど多くの種類で試したわけではないので、苔の中にはひょっとしたらピートモス100%では酸性が強すぎる種類もいるかもしれません。


苔テラリウムを育てたいけど、ホームセンターで買える土で使えそうなものは?と聞かれたら、ピートモス、と私は答えるようにしています。

ただ、100%にするとそれはそれで不都合もあるので20%に抑えています。

これについては後の項目で説明します。



②苔が植え付けやすい


苔テラリウムは基本的に苔をちまちまと土に挿して制作していきます。

かつては、苔をポンポンと置いたり貼ったり、でしたが、少なくとも日本では、苔を"挿す" という方法論が定着してきたように思います。


そうすると、用土としては「苔を挿しやすい土」というのがポイントになってきます。

どういった土が「苔を挿しやすい土」なのでしょうか?


この苔テラリウム用土は先にも配合を記載したように、非常に粒子の細かい用土(赤玉土、バーミキュライト)を使用しています。さらに、それらの繋ぎとしてピートモスが配合されています。

比較してみるとわかるのですが、ピンセットが土にスッと入り、ピンセットを抜く時は、土が苔をよく掴んでくれるため、非常に植え付けがしやすいです。植え付け作業が本当に心地よくできます。

(ちなみに土のかため具合によっても作業性は大きく変わるので、そのポイントを最後の方に記載します。)


これが例えば粒の大きな土ではどうなるか。


まず苔を植えたいところドンピシャに植えるのが困難です。苔テラリウムはとても小さいため、1mm、2mmの位置のずれでも結構大きくデザインに影響します。土の粒が大きいと微妙な位置の調整がどうしても難しくなります。またピンセットを挿そうにも、抵抗が大きく挿しにくい、苔の植え付け角度が安定しない、土が苔を掴んでくれない、など、実は結構植え付けが大変になります。



③傾斜など土台の造形がしやすい


カッコいい苔テラリウムを作るコツの一つは、土台の高低差を用土でしっかり作ってあげることです。苔は背丈が小さいので、高低差の表情を出しにくく、そのため高低差は苔そのものでなく土台(石や用土)の方でしっかり作ってあげる必要があります。

この勾配をしっかり作れるか、これも用土の性能の一つです。


実はこれも用土の粒が小さいこと、ピートモスの繋ぎが入っていること、が重要で、この苔テラリウム用土であれば、作り方によっては60°程度の急斜面を作ることも可能です。

粒が大きな用土、「つなぎ」の入っていない用土ではなかなかそうはいきません。

とはいえ、乾き気味の状態では土がさらさらと流れてしまいやすいので、ある程度湿らせながら使用すると良いでしょう。



④濡れ性が高い


では各用土の比率はどの程度が最適でしょうか?

①で、ピートモスの配合はあえて20%に抑えている、と記述しました。

これにはいくつか理由があります。


まず、濡れ性を良くするためです。


ピートモスは一旦乾くと水を弾きやすくなる(吸いにくくなる)、という性質があります。

こういった性質を持つ素材は結構多く、ケト土や乾燥ミズゴケなども同様です。乾いた際の濡れやすさ(水の吸い取りやすさ)を「濡れ性」と言ったりします。


苔テラリウムはそれほど土が渇きやすいわけではありませんが、乾く時は渇きます。特に苔むすびの苔テラリウムはものによってあえて渇きやすいように設計しているものもあります。一旦干からびた苔テラリウムの土に水を再度あげた時に、用土の濡れ性が低いと、均一に水が行き渡らなかったり、苔が浮いてしまったり、といったことがおこってしまいます。


ピートモスの割合を振ってみたところ、20%を超えると、乾燥時の濡れ性が非常に悪くなることがわかりました。濡れ性の非常に良い赤玉土、バーミキュライトを80%として、ピートモス20%を上限としたのはこのためです。


また、ピートモスは鉱物でないため、徐々に分解していきます。そうすると最終的には土のカサが減ることになります。ピートモスの比率が高いほどカサも減ることになるため、そう言った点でも入れすぎない方がベターかと考えています。



⑤美しく見える


バーミキュライトは蛭石を高温加熱することで作られるもので、保水性や保肥性が良い、などと説明されていますが、そういった物理化学的性質がどこまで苔の生育に影響するのか、実感としてはありませんし、比較実験を行ったこともありません。ただ、バーミキュライト単用での苔の生育はありまりよくないように感じています。ある程度の有機物が必要なのかもしれません。


バミーキュライトについては濡れ性の向上、そして一番は見た目が明るく、清潔に見えるという美観の目的で使用しています。金色の粒が適度に入ることで、とても美しく見えます。苔テラリウムは土も見せるものですので、これはこれで大切な要素です。



⑥菌が生えにくい


最後になりましたが、前提として菌の生えにくい用土、というのが苔テラリウムにとって最も大切な要素です。閉ざされた多湿空間というカビが発生しやすい環境ですので、用土のカビにくさはとても大切です。


使用している焼成赤玉土やバーミキュライトは高温で焼き上げているので、殺菌されておりり、また菌の餌になるような有機物も焼かれてしまっています。

ピートモスについては有機物ではるのもの、菌が勢いよく食べてしまう(=カビやすい)ような質の有機物ではないため、ピートモスを使用したから菌が増えやすくなる、ということもないようです。



苔テラリウム用土の使い方のコツ


最後に苔テラリウム用度の使い方のコツをまとめます。

  1. 土を入れたら、水差しで水をかけていきます。ズブズブにならない程度にあげてください。200ccの土に対して、だいたい30cc程度の水をかけてあげると良いかなというところです(土の乾き具合にもよりますが)

  2. 水をかけたら1分ほど触らずに静置します。1分ほどで土が水を吸収してくれます。

  3. 1分ほど経ったら、何か平らな面のある棒や指などをつかって、土を軽く固めます。ぎゅっとする必要はなく、ふわふわを落ち着けるくらいのイメージで軽く固めてあげましょう。水をかけてすぐにこの作業を行うと、苔が挿しやすい固さにになりませんので、「1分待つ」のが重要です。

  4. 苔をピンセットで植えてきます。途中土がゆるくなるような作業をしてしまった時はまた改めて土を軽く固め直してください。ある程度土が固まってないと、土が苔を掴んでくれず、植え付けが難しくなります。



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