竹の有名な鎌倉の某お寺に2年ほど前から入らせていただいています。 (許可が得られていないので名称を伏せています)
お寺全体として、年々ゼニゴケ類が広がっていっているため、なんとかしたい、というお話をいただきました。ゼニゴケ類が生えてしまうとどうしても管理されていないように見えてしまうのと、暗くジメジメした雰囲気が出てしまいます。
こちらの施工地もゼニゴケ類がほぼ全体を覆っていたので、これを取り除いた上で、他の苔を植え付けることにしました。 今回は、適度に木漏れ日の当たる日陰地だったので、オオシッポゴケの単植とすることにしました。
近くで見るとこんな感じ
さらに近づくと、ゼニゴケ類(これはジャゴケ)だらけなのがわかります。
まずはとにかくゼニゴケ類を剥がします。
剥がして、土をうまい具合に削り出すだけでもそこそこ大変。
苔の厚みも考え、かなり土を取り出しました。この土台作りに手間暇を取られます。
石についた苔も極力違和感のないように剥がすことにし、石はゴシゴシとタワシで磨きました。
鎌倉はモグラが多く、こちらの施工地もモグラ害が発生していたので、除草とモグラ対策を兼ねて防草シートを貼ります。石が多く、貼るのも一苦労。
こんなピンの止め方でよいの?と思うかもしれませんが、この後上からさらに苔の固定資材をピンで止めていくので、この程度でも大丈夫。
ですが、その様子の写真を撮っていなかったようです。これについては別の投稿に譲ろうと思います。
土を入れて、苔の苗を植え付けていきます。ここにいくつか工程があるのですが、こちらもまた別の機会に投稿します。
苔苗はトレーに入っているので当然直線的なのですが、この直線が出てしまうと人口的な感じになってしまうので、そのまま貼らず、ある程度分割して自然な感じが出るように植えていきます。観光地ですから。 ここの仕上がりは意外とテクニックが必要です。
そんなこんなで完成しました。
上がビフォー、下がアフターです。 苔の乾き具合や光の具合で色が薄く見えますが、綺麗に仕上がったと思います。
ただ、剥がした石の違和感はある程度仕方がないところです。しばらく苔が勝手に生えてくるのを待つことにしました。 この石は鎌倉の砂岩のようで、非常に苔むしやすいのです。一年もすると、かなりのボリュームで苔が生え、全く違和感のない景観になりました。
さらに、つい先日撮影した施工から2年後の様子がこちらです。
非常によく定着してくれて、苔の毛並みも非常に良い感じです。 苔も全く違和感のない形で生えてくれました。 この辺は鎌倉石とお寺の環境の力でしょう。どこでもここまで早く育つわけではないです。
観光客の方々も次々に足を止めて写真を撮るほどになりました。竹のお寺でじっくり苔を見ているお客様の姿に、心の中でガッツポーズです。
ただ、注意いただきたいのは、ただ放っておくだけでは苔はダメになっていきます。 特にこちらは竹林脇の場所。竹の葉が常時降り注ぐため、毎日ブロワー等で落ち葉を除いています。庭師さんのこういったご苦労によって成り立っています。 雑草も時々生えますし、隙あらばゼニゴケ類が生えてきますので、定期的に軽く手を入れる必要はあります。
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