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撒き苔法での目土の被せ方



 

<注意>

苔の栽培方法に正解はありません。苔栽培は環境や技術に大きく影響します。また、様々な方の生産方法や理論をまとめているため、それぞれの記事で矛盾が生じることがあります。あくまで方法論の一例として参考にしてください。

 

秋田の苔生産者Tさんのお話を元に、苔栽培における目土の被せ方をまとめました。

目土は、必須ではありませが、芽出し効率を大きく向上させます。ただし、誤ったやり方では逆効果になるので、ポイントをまとめました。



撒き苔法での目土で芽出し効率を向上させる


苔の生産は、バラバラにした苔を撒き、増殖させる「撒き苔法」と呼ばれる方法で行われることが多いです。撒き苔法については別の記事に譲りますが、このような形で、トレーにバラバラ状態の苔を薄く敷き詰めます。


その後、このままの状態で芽出しをさせることも可能ですが、微量の目土を行うことで、芽出しの効率が上がる、と言われています。



なぜ目土が必要なのか?


目土は水分の保持や適度な遮光を目的としていると思われがちですが、苔生産における目土は別の理由があるのではないかと考えています。


というのも苔は発芽時に、何かしらの基物に接触していると成長の開始が安定するようなのです。これは発芽に伴う、仮根の発生とも関係していると思うのですが、何かしらの足場がある、というのが重要な意味を持っているのでは?と考えています。


従って、目土は苔を覆う必要はなく、粉を薄くまぶすようにかけてあげる、という形になります。使用する目土も、非常に粒子が細かいものになりますし、使用する量も少量です。



目土の配合とテクニック


T氏流の目土の配合は ピートモス:黒ぼく土:川砂=5:3:2

これをかなり目の細かいメッシュでパスします。

触ってみると、粒感はほとんどなく、ふわふわとした粉状といってもよいくらいのものです。




目土は極力薄く満遍なく。育苗箱サイズであれば、軽く一握り程度です。

目土の様子を動画でご覧ください。

少量を満遍なくかけるにはそれなりのテクニックが必要です。




目土後の様子です。撒いた苔がほとんど隠れていないのがわかります。




目土を被せすぎるとどうなるか


実は多くの苔は、土が被さると発芽が抑えられるようで、過度に目土を行うと芽出しが非常に悪くなるようです。


スギゴケなどは例外で、土の中から平気で芽をだしてきますが、基本的には目土は極力控えめに、と考える方が良いでしょう。


ちなみにこちらは、別の生産者さんから頂いた、目土の被せすぎかつ目土の粒が荒すぎた時の写真です。ホソバオキナゴケが全面に撒かれているのですが、かなりの部分が目土に隠れてしまっています。また、目土の粒が荒く、障害物になってしまっているようです。苔はサイズが小さいため、土の粒が大したサイズでなくとも影響を与えてしまうことがあるので、注意が必要です。



本記事の執筆に協力いただいた、秋田県のTさんに感謝申し上げます。

写真提供いただいた、広島県のAさんに感謝申し上げます。


 

<全国の苔生産者さんへ>

苔技研では全国の生産者さんの試み、知見、失敗例等々を共有し、苔生産の発展の一助になれるよう情報発信をしたいと思っています。ご協力いただける生産者さんはぜひ苔技研までご連絡いただけますと幸いです。

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